ゲーム開発奮闘記

Unity・エフェクト・アプリ開発に関係した記事を書いています

CEDEC+KYUSHU 2017に参加してきました②

先日の記事:「CEDEC+KYUSHU 2017に参加してきました①」の続きです。


■まさに魔界!!ディレクターによる小規模開発現場のお話
http://cedec-kyushu.jp/2017/session/17.html
日本一ソフトウェアの溝上さん、古谷さんによる、小規模開発を行った経験についてお話しされました。
日本一ソフトウェアの社長さんの考え「お金じゃなくて、頭を使って、イイゲームを作らなければ!」
お金をかけた大規模開発ではなく、小規模でお金をかけずにアイディア勝負で良いゲームを作っていこう!という考え。

社内で、企画コンペのイベント「日本一企画祭」というイベントが毎年行われている。
制作期間:半年から1年間
開発人数:4~5人
募集対象:全社員誰でも

この企画祭に対する社長のイメージは、「意外な人に光があたる!」・「人材発掘」・「誰でも自分の考えたゲームを会社で作れる!」
企画祭は良いことずくめだ!

と思いきや…。現場はやばいことになっていた。
様々なプロジェクトが炎上していた。

「ホタルノニッキの開発」
古谷さんが初めてディレクターを経験した時のお話。
ホタルノニッキのゲーム説明:死にゲー、パズル、尖った操作性とゲーム性

プロトタイプの時期にディレクターが変わってしました。
企画を通した人が会社を辞めることになり、古谷さんがディレクターを引き継ぐことになった。

開発期間:8ヶ月
プログラマー:約2名
デザイナー:約2名
 +アルファの人員

ディレクターが変わったタイミングでの現状は、ステージの量産が出来ない状態だった
理由:使いまわしがきかない謎解きのアイディアが沢山書かれていた。
解決案:使いまわすギミックの組み合わせで謎解きを作る方針へシフトした

だけど… ギミックの配置調整がしづらい状態になっていた
でしたら、人員追加で対応を行い → 完成!

反省:次はマップツールを作ろ!!
次回作は、ワークフローとツールを作る所から始めました。

「夜廻」:小規模で面白いゲームデザイン
溝口さんは思った、ちゃんと考えて作る

Vita:おばけに追いかけながら町をウロウロする。
約5万本のヒット、大成功!!

「何を考えて作ったのか」
その1:あきらめた
ゲームシステムをシンプルに。 他の部分で面白くしようとした。
主人公を無力な少女にした。 設定でカバーした。

その2:グラフィック
時間をかけた分だけ確実にクオリティを出せる自信があった

その3:ゲームのボリュームをどうするか
短いプレイ時間で満足度の高いゲームを目指そうと
→ じゃあホラーで!
そのゲームの何が面白いか明らかにしないといけない。

その4:縛りを活かす キャラクター
デフォルメキャラで今までになかった、「コワカワイイ」ホラーゲームを実現
物量でごまかさず、ゲームそのものを面白くする工夫をしましょう。

アイディア、諦め、選択

「まとめると」
・勢いだけで突っ走ると痛い目にある → 頭を使って
・イイアイディア、ゲームの工夫、考える
・小規模開発でも必要な準備はしっかりとしよう。


■ゲームサウンド大解剖!シーンを意識したサウンドの組み立て方 ~実例から実演まで~
http://cedec-kyushu.jp/2017/session/37.html

株式会社レベルファイブ/山中 大、株式会社ガンバリオン/廣瀬 祐一、
株式会社サイバーコネクトツー/福田 憲克、株式会社ノイジークローク/蛭子 一郎
4社によるサウンド制作担当者が、色々なテーマを元に発表を行いました。

「何を大事に作っているのか」

「シーンを意識するうえで重要な要素とは?」
・デフォルメ間: リアル、リアルより、デフォルメ などの段階によっての違い。
・テイスト: 和風、ファンタジー風、?(映像とは直接結びつかないテイスト)

「シーンを意識しきれていない例」
・金属音が生々しい
・環境音に要素が入りすぎ
・素材があるのに使いどころが悪い

スナックワールドトレジャーズは、アニメのSEトラックを15話分もらい、
800個のSEに分解して、ゲームで使用した。

「ゲームサウンドの作り方」
・BGM → ゲームの世界観を表す、ME(ジングル)
・効果音 → システム効果音、キャラクター行動音、エフェクト音、環境音、新庄演出音
・ボイス → キャラクターのセリフ、言葉による的確な指示を送る

「効果音の制作事例」
ヒットエフェクト音を元にBreakDown「こぶしで殴られ」(バシッの音)

「素材群」
A:芯になる音 → バスドラム系やタムタム
B:破裂成分 → パチンという破裂音
C:攻撃の重さ → ずにゅっ
素材を元に各種調整をする。

Aは、バスドラム音をピッチを下げる調整など
B、Cも調整をする。
A、B、CのミックスEQ音圧調整で完成!!
要素を分解、それぞれ作成して、再調整の流れ。

「効果音を聞き比べてみよう!」
MA:効果音

CCチューの動画を元に、4社それぞれ好きなカットを担当して、MAしてみた。
レベルファイブ:テーマ「デフォルメ」
ガンバリオン:テーマ「オーソドックス」→かわいさ、りりしさ、お約束
ノイジークローク:テーマ「8ビット」→ファミコン
CC2:テーマ「カーテトゥーン風」トムとジェリー

「各社それぞれテーマでMAした結果」
音はテーマの違いで映像のイメージを大きく変える力がある

「VR音ゲーの効果音政策で改めて得た知見」
エアトーン、Airtone
VRでは没入感が大事

最初に用意した音では、何故か一体感を感じられなかった…
→ OculusTouchの振動が原因ではないか?

仮説:タップ音と振動の長さに原因があるのではないか?
調査: 振動音が0.2s タップ音が0.1s だった。
明らかに、タップ音が短かった。
振動に合うようにタップ音を修正した。
結果:一体感が出た!

「まとめ」
没入感がとても重要!→ 没入感は非常に些細なことで失われる


■ペルソナシリーズにおけるUIクリエイティブの手法 ~ペルソナ5のUI事例~
http://cedec-kyushu.jp/2017/session/16.html
株式会社アトラス/須藤 正喜、和田 和久
アトラスでのUIについての考え方と位置づけ、ペルソナのUIがどのような考えで作成されたかお話しされました。

「クリエイティブの思考について」
印象的な「UI画面」がグラフィックの特色

「P3タイトルの会社的なミッション」
・最新作としてイメージの革新
・ライトユーザーの獲得
・それを低コストで実現!

開発背景
P3開発当初、アトラスCS開発部の危機だった。
アトラスのゲームは、面白いけど売れないと… と言われる風潮

3Dハイエンド化が当たり前、コストが増える、ハードの進化へ対応した

「UIの徹底強化を行った!」
派手で主張の強い主人公。 はっちゃけた!

「UIを強化することで起きる効果」
★タイトルカラーの手動力UP↑↑
→ ゲームに常に出ているもの

★ラッピング効果UP↑↑
→ 気の利いたラッピングでよく商品を見せる

★リーズナブルで効果的にUXUP↑↑
→ 膨大なゲームリソース、全ての品質を向上するのは非効率的

「まとめ」
「ゲームの印象を上げるにはまずUIを強化すべし!」
UIは重要 アトラスは、UIによって進化していた。 P3 → P5へ

「ペルソナシリーズのグラフィックデザイン
18年間 → UIの制作ツールと工程は同じ
PhotoShop、AfterEffect、Illustrator
形・色では、色の方に目が行くと考える

ATLUSが考える企画がスタートした後に決める最初の3つ」
1.メインカラーを決定
2.タイトルロゴ
3.キーフォント
どんなデザインよりも先に決める
ATLUSでは、UIデザイナーがアートディレクターになっている

「メインカラーを決める」
『青』『黄』『赤』
日常で見る色を基本に。

「サブカラーでどこを見てほしいか表現」
P4では多色ストライプを使う事で、視線誘導
P5ではサブカラーを可能な限り入れないようにした

「視線誘導」
「ポップパンク」
・クラシュ・プレイク
・ラフに踊るフォント
マス目上レイアウトの撤廃、ランダムな回転角
視線誘導を意識してランダムな回転角
2階層以下は、「階層認識」のしやすさを気を付ける

「UIと共に歩き回る3Dモデル」
・UIで専用で表示できる3Dモデルの仕組みを用意
・チェーンを自由に配置できるようにした

「フロー」
Photoshopで画面イメージを作成

モーションにポーズ作成、配置依頼

3Dモデルを元に2Dイラストを作成(統一感を出すため)
視線誘導の為、ずっとタイミングの動きの調整を行っていた。

「データの実装とプログラマー
パーツ分けの基準

テクスチャー作成、アトラス化をツールで。
※テクスチャーデータは、マルチプラットフォームに対応するために全てパスで作成
PS4の解像度で作成
パスデータ作成にバイトを4人雇った。
各パートを内製のSPTエディターでアトラス化

「指示書」
パーツの名称・登録したID・表示座標X、Y が書かれた紙

プログラマーへ組み込み依頼

調整は基本口頭でプログラマーさんとやり取りをする
UIアニメを8割は、プログラマーが行っている
紙面ベースでやり取りを続けている
P5は1000枚以上の指示書を作成

「UIの大事さ」
今何をすればいいのか、誘導できるようなUIにすること

CEDEC+KYUSHU 2017に参加してきました①

2017/10/28(土)に、福岡で行われたイベント「CEDEC+KYUSHU 2017」に参加してきました。

受講してきた内容をまとめます。


■基調講演:ゲームから映画まで クロスメディアにおけるサウンド制作の極意
登壇者の光田さんは、レベルファイブ妖怪ウォッチなどのサウンド制作をしている。
妖怪ウォッチは、「ゲーム」「アニメ」「映画」とクロスメディアでのコンテンツである。
この3つのメディアに対して、対応するために何に気を付けてデータを作成しているかお話しされました。

「各メディアの特徴」
ゲームは、ループ音が多い、製作期間が長い
アニメは、キメ音で終わる、製作期間が短い
映画は、アニメと同様。Stem Mixが必要

「作品への理解」
新シリーズ初のタイトルの時は、まず登場キャラクターの相関図を作成する。
相関図を元に必要なテーマ曲を洗い出す。
通常ディレクターからテーマ曲の発注を受ける場合、「キャラに対して一つのテーマを作ってください」と言われるが、
それでは、テーマ曲のバリエーションが沢山必要になり、違いを出しにくくなってしまう。
なので、イナズマイレブンでは相関図を作成すること、各学校のテーマ曲を作ることで曲数のコントロールや違いをうまく出している。
必要な部分では、相関図を元にキャラに対してのテーマ曲を作成することもある。

何はともあれ、相関図を作ることで必要なテーマ曲が見えて来る。


「PVに音をはめる作業」
日野社長から光田さんへPVに対して、サウンド制作の依頼があった時の流れ。
「企画」→「シナリオ」→「PV」と制作が進められる。
レベルファイブでは、PVが強い世界観イメージになっている。
そこでPV制作がスタートする時、レベルファイブより資料データの「絵コンテ」・「Vコンテ」・「シナリオ」が送られて来る。
まず最初にシナリオが届く。
それを元に音のイメージをコメントとして書き込み、すり合わせていく。
次に絵コンテが届く。
絵コンテよりカットごとのタイム感、スピード感、楽曲の盛り上がりをイメージする。
最後にVコンテが届く。
全体の店舗間、台詞のタイミング、キャラの動きが分かる。

「まとめ」
絵が先行して上がってくる場合、セリフが重要になり音を入れる手掛かりになる。
シナリオ・絵コンテ・Vコンテどれも、セリフが書かれていると製作しやすい。
クロスメディアに対応できるように、楽器ごとに音の収録を行い、ミックスさせて再調整を行う。


■『NieR:Automata』でみるアクションのあれこれ
田浦さん:アクションパート全て担当したゲームデザイナーさん
根岸さん:アクションパート以外のRPG部分を担当したゲームデザイナーさん

「プラチナゲームスのアクション開発体制」
基本的なフローの紹介: 1.立案 → 2.仕様作成 → 3.チェック → 4.仕様説明発注 → 5.組み込み実装 → 6.チェック → 7.完成
4.5.6.の部分の流れは、何度かサイクルを繰り返して調整を行われたのちに7.の完成になる。

社内では、作ったものをすぐ遊び口頭で仕様について議論を行う。
改善案はスピード重視で、仕様書は最初の意思疎通の役割を行う部分として利用されるだけで、更新頻度は低い。指針を示すもの。

「NieR:Automataでのゲームデザイナーの担当分け」
アクションパートを田浦さん一人で担当
その他のRPGパートをそれ以外のゲームデザイナーさん(5~7名)で担当

「結果」
速いスピード開発:半年でアクション部分をほぼFIX出来た。
アクションパートを田浦さん一人で担当することで、開発体制でお話しされた、フローの1.2.3.4.5.6. と4.5.6.のサイクルを一人ですることができたことにより
スピード開発ができた。

「立案」
アクションを考える前にコンセプトを決める
1.キャライメージ:いっぱい出す!(種族、性別、身長、色、etc…)→その中か特徴的な数個を絞る
→「アンドロイド」人間にはできない動き
→「ゴシックな服装の細身の女性が日本刀をもつ」きれいな、しなやかな動き

2.ゲームをイメージ:どういうことが楽しいゲームなのか?
ニーアでは、「空間を使ったバトルが楽しい!」→機動力を高めて、動き回れるように。
動きたい時にいつでも動けるように。→基本行動に制限を付けない。(スタミナゲージなどの要素を入れないこと)

3.ターゲット層をイメージ:前作のファンの方
→重要箇所をピックアップ→シナリオ、音楽、イクラ弾幕、などなど
→画面を見た時に「このゲームは○○だ」と、他にない秀でた特徴を見つけ出すこと
→スタイリッシュで爽快アクション

1.2.3.を元にアクションコンセプトを立案する
「ハイスピードで華麗に舞う、誰でも楽しめる気持ち良いアクション」
→コンセプトによって得られるものは、目指すべき方向性の共有、迷った時の道しるべ。


「コンセプトを具現化した例」
アクションが得意な人苦手な人、どちらも楽しめるゲームにするために。
・操作は簡単で分かりやすく。→1ボタンに1機能
・ガチャプレイでも成り立つアクション→適当にボタンを押していてもコンボがつながるよう

「核となるアクションを考える」
・売り:花がある、見栄えする→敵攻撃を回避からのアクションコンボ
・モチベーション:ダレさせないようにする

「必要な要素」
・性能が高い
・リスク(ゲーム性、駆け引き)がある
・花がある。
・バリエーションがあると良い(プレイヤー、敵のリアクション)
・普段のアニメーションから移れる

「なぜジャスト回避アクションを「核」にしたのか」
・リスク→ジャスト回避
・花→ジャスト回避アタック


「発注」
アニメーターへの発注書類
・技の数
・技の属性イメージ
だけを伝える。細かい動きのイメージは、全て口頭で伝える。
「回し蹴りのアクションです」とかも書かない。ただのコマンド表を渡すだけ。

やりとりは、とにかく口頭で。

「調整」
フラグでアクションの調整をできるようにしている。
このアクションは、キャンセルできるのか、できないのか。
キャンセルのタイミングは。ターゲットの近くをロックするのか。
調整のフラグを沢山プログラマーさんに用意してもらっている。(口頭で)


「ちょっとした工夫」
例1:1つ1つのアクションをシンプルにかつ、単体で完結させ過ぎず、組み合わせで楽しませる
例2:ディレイ(飛び道具などのアクションを行った時、単純にボタン連打のときと、ボタンを押すタイミングをずらすことで辺り判定を長くさせる。→アクションの得意な人に対してのやりこみ要素)
例3:キャラクターをアニメーションさせない:ニーアがシュッとジャンプして消えたのちに、かっこいい斬撃エフェクトが画面を行き来することで、アニメーションコストを下げつつ、見栄えのするものに仕上げる。

「シナリオとアクション」
アクションのオートモードを実装

シナリオ重視のゲームなのに、シナリオスキップはある

アクションスキップできないのか?

アクションオートモード実装

アクションを小分けにオートにできるようにした。(回避だけ、必殺技だけ、など自由に設定できる)
押し付け過ぎず、選択の自由を。
オートモードの反省点:システムの奥まったところに実装したため、使ってほしい人に使ってもらえなかった。


長くなりましたので、
その他セッションの続きはまた明日以降に!